読書の春

心に伝わる本、紹介しています。あと、読書に関する雑談などもしていきます。

会社を辞める勇気 『ちょっと今から仕事をやめてくる』 小説紹介

北川恵海さんの作品、『ちょっと今から仕事やめてくる』。 ブラック企業に勤めている隆。 過酷な仕事に疲れた隆は、飛び込み自殺をしようとする。 そんな彼の目の前に現れたのはかつての同級生だった。 同級生のヤマモトのおかげで、次第に元気になる隆だが…

自分だけの仕事 『幸せの条件』 小説紹介 

誉田哲也さんの作品、『幸せの条件』。 ただ生活するために働く24歳、OLの瀬野 梢恵。 言われた仕事をこなすだけの日々。 そんなある日、社長から長野へバイオエタノール用の米を作れる農家を探し、契約してこいと言われる。 いきなりの出張に戸惑う梢恵は…

偶然の選択 『終電の神様』

阿川大樹さんの作品、『終電の神様』。 事故で緊急停車した夜の電車。 ダイヤルは乱れ、乗客は不満を募らせる。 早く家に帰宅したい、この後の約束は間に合うのだろうかと思う人たち。 緊急停車による時間の遅れは、人の予定を狂わすかもしれない。 でも、そ…

人生の輝き『星の王子さま』

サン=テグジェペリさんの作品、『星の王子さま』 みんな大人になると忘れて行く。 本当に大切なことを忘れて、目の前のことを大切にする。 そんなこと、当たり前かもしれない。 描いていた理想は、儚くも目の前から消えていく。 人生はそんなに甘くないと。…

探し物はここで見つかる『君の膵臓をたべたい』

住野よるさんの作品、『君の膵臓をたべたい』。 私が小説で初めて泣いた作品。 この作品のタイトル、『君の膵臓をたべたい』は一見、何を言っているのかわからないだろう。 このタイトルは、読んで初めて理解することができるのだ。 だから、今回は一切内容…

信頼と習慣 『ゴールデンスランバー』

伊坂幸太郎さんの作品、『ゴールデンスランバー』 この物語には、『信頼と習慣』という言葉が出てくる。 人が窮地に立たされたとき、信頼と習慣は助けてくれるかもしれない。 もし、冤罪をかけられたとき、信頼してくれる誰かはいるだろうか。 日頃、何らか…

闊歩しよう 「時をかけるゆとり」

朝井リョウさんの作品、『時をかけるゆとり』 この本はゆとり世代である朝井リョウさんのエッセイ集。 この本は控えめに言っても面白い。 朝井さんの作品、『何者』、『スペードの3』を読んだが、本当に同じ著者なのかと疑問に思う。 前者の二つの作品は、…

一番の輝き 『きみはポラリス』

三浦しをんさんの作品、『きみはポラリス』 11作品が詰まった本。 恋の形は人それぞれ。 答えもない、正解もない。 ただ好きな人を愛するだけ。 まっすぐな愛情、歪んだ愛情、それぞれあるけれど、 双方が幸せならどんな形でも良いのかも。 こぐま座の中で…

見方を変えるだけでいいんだ 『アルジャーノンに花束を』

ダニエル・キイスさんの作品、『アルジャーノンに花束を』 幼児並みの知能しかないチャーリー。 彼の周りにはいつも友達がいてくれる。 友達は彼をみて、笑ってくれるんだ。 自分も彼らと同じように知能が欲しいチャーリーに、いい知らせが舞い降りて来た。 …

本当に、その色は君が思っている色なんですか 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

村上春樹さんの作品、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 大学時代、自分が最も心を許す友人たちに突如、絶縁を告げられる主人公、 多崎つくる。 つくるは特に彼らを傷つけるようなことはしてはいないはずなのに、 なぜか縁を切られてしまう。 自…

ルールが全て正しいとは限らない 『オーデュボンの祈り』

伊坂幸太郎さんの作品、『オーデュボンの祈り』。 主人公は、江戸時代から閉鎖された島にたどり着く。 その島の名は、日本列島の近くにある荻島。 荻島に住む住人たちは、独自のルールを守っていた。 ルールを犯したものを殺してもよい。 島の外に出てはいけ…

非日常は見えていないだけで、すぐ近くに存在する『死神の精度』

伊坂幸太郎さんの作品、死神の精度。 もしかしたら私たちの周りに、死神は存在しているかもしれない。 対象者の死を判断するため、死神は人間の姿になり、その人を調査する。 もし、その人が生きるに値しないならば、死を決定する。 そんな死神の一人、千葉…

辛かった道もいつの日か大丈夫になる 『ロードムービー』

辻村深月さんの作品、ロードムービー。 冷たい校舎の時は止まるに出てきます。 とりあえず、このロードムービーの道の先とトーキョー語りがオススメ。 冷たい校舎の時を読んでから、ロードムービーを是非読んでみてください。

物語はここから始まる 『冷たい校舎の時は止まる』

辻村深月さんの作品、『冷たい校舎の時は止まる』 8人の少年少女たちは、学校の中に閉じ込められる。 なぜ閉じ込めらたのか、現実なのか夢なのか、わからないままの彼ら。 物語が進むにつれて、次第に真実が見えて来る。 一人一人、悩みを抱えているんですが…

自分の道を決めるのは、いつだって私自身なのだ 『子どもたちは夜と遊ぶ』

辻村深月さんの作品、子どもたちは夜と遊ぶ。 誰かを裏切ったり、 誰かを傷つけたり、 自分を偽り続けたり、 生きていく上で誰しもが出くわす、罪の意識。 自分が犯した過ちを正すため、私たちは日々、カルマを背負って生きていく。 罪は巡り巡って、何らか…

面白きことは良きことなり 有頂天家族

森見登美彦さんの作品、有頂天家族。 人間、天狗、たぬきが出てくる京都を舞台とした物語。 天狗は幅を利かせ、たぬきは自由奔放に生き、人間は彼らの存在を認知せずに暮らしている。 物語はたぬき四兄弟、下鴨一家中心に進んでいく。 それぞれの問題を抱え…

物語は巡る スロウハイツの神様

辻村深月さんの作品、スロウハイツの神様 この作品の登場人物は、自分の好きなことを追求する物語。 誰かにバカにされるかもしれない。 自分のやっていることは無駄なことかもしれない。 だけど、前に進む。 不器用だし、失敗もする。 いつかでいい、自分を…

あなたにとってのメジャースプーンはなんですか ぼくのメジャースプーン

辻村深月さんの作品、ぼくのメジャースプーン。 他人が決めたものさしで人を選ぶのではなく、自分がいいなと思った人を慕う主人公。 大切な人が傷ついたとき、主人公は理不尽と闘う。 自分にとって本当に大切なものはなんなのかを考えさせる作品。 他人に異…

衝撃のどんでん返し カササギの計略

才羽楽さんのカササギの計略。 内容は恋愛小説。 期待を裏切るどんでん返し。 単調な物語に飽きたという人にはオススメ。 誰かを好きなるということは、同時に知りたくない一面も知ってしまうこともあります。 それでも共に生きたいと思えるような人間になり…

自分にとって特別なもの オーダーメイド殺人クラブ

辻村深月さんのオーダメイド殺人クラブ 自分の利益のために平気で人を裏切る人たち。 当たり前のように存在する理不尽。 そんな理不尽を受け止めることができない若者たちが、自分自身に問いかける物語。 私も様々な理不尽に遭遇してきました。 人を利益のた…

目に見えるものだけが脅威とは限らない 悪の教典

貴志祐介さんの悪の教典。 この物語の主人公は蓮実聖司。 表向きは高校の教師をしており、他の先生や生徒から厚い信頼を得ている。 しかし彼の本性は、自分の思い通りにいかない人間を排除しようとするサイコパス。 排除することに対して、善悪の感情がなく…

自分の居場所を見つけるのは難しいけれど『凍りのくじら』

悲しい別れをしたり、自分の非力さを感じたり、周りの人とうまくいかなかったりするととても息苦しくなるときがある。息苦しくなると、冷静に周りを見ることができなくなり自分の居場所がわからなくなることがある。 こんな感覚は自分だけでなく、誰でも生き…

私にとって本はどういう存在なのだろうか

本を読んでいると、この場面はおそらくこんなイメージだろうとか場面ごとに想像しながら読むことがある。場面ごとに出てくるイメージは、すぐには思い出せないけれど、おそらく私が今まで目で見た景色や心に染み付いた考えが反映されているのだ。もちろんそ…

何度繰り返しても、大切なものは変わらないのかもしれない

誰でも、過去に戻って人生をやり直したいと思うことがあると思う。少なくとも、私はやり直したいと思っていた。過去に戻ったら、センター試験をやり直したいとか、告白できなかった人に告白するとか、いろいろなことをやり直したい。私はいつだって、過去に…