闊歩しよう 「時をかけるゆとり」
朝井リョウさんの作品、『時をかけるゆとり』
この本は控えめに言っても面白い。
朝井さんの作品、『何者』、『スペードの3』を読んだが、本当に同じ著者なのかと疑問に思う。
前者の二つの作品は、決して他人に見せることのない黒い部分を描き出していたが、『時をかけるゆとり』では自由にそして愉快に生きている朝井さん自身を描き出している。
こんなにも真逆の文章を書けるのかと思うと、憧れてしまう。
この中の一編、眼科医と衝突する話が最高に面白い。
年々目を悪くしている朝井さんが、くまのプーさんを彷彿させるような眼科医と遭遇するお話。
少し変わった眼科医と朝井さんの独創的な観点が織り成すエピソードは、腹を抱えて笑ってしまうのだ。
この本の一編一編、朝井さんのなかのものをありったけに晒し出しているように思う。
やはり、こういうところが本の良さなのかもしれない。
朝井さんと同様、私もゆとり世代である。
世間一般には、ゆとり世代と揶揄されているが、そんなことは気にしない方がいいだろう。
ゆとり世代とは、自由にそして自分らしく生きる世代であると、私は信じている。