読書の春

心に伝わる本、紹介しています。あと、読書に関する雑談などもしていきます。

大切なことしか言わない 『青い鳥』 小説紹介

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ヒーローとは何か。

悪党に襲われそうになるヒロインを間一髪で助けたり、

ピンチの場面に遅れて登場したり、

圧倒的な正義の力で敵を一蹴するヒーローを想像する。

 

簡単に言えば、子供の頃によく見ていた仮面ライダーや戦隊ものに出てくる主人公が当てはまる。

とにかくヒーローはスマートでかっこいいのだと私は思っていた。

 

でも、ヒーローの形はそれだけではないのだ。

 

今日、紹介する小説『青い鳥』の主人公・内村先生は、吃音という病を患っていて、うまく喋ることができない。

 

村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒―後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。

内容(「BOOK」データベースより)

 

一般的に、先生という者は、はきはきと言葉を喋れる方が、

うまく勉強を教えることができるだろう。

その点では、内村先生はうまく教えることができない。

そんな内村先生は勉強よりももっと大事なことを教えてくれる。

吃音というハンデと、今まで体験してきたいじめというものを知っているからこそ、

普通の先生なら気づくことのできない叫びに気づくことができるのだ。

内村先生だけの方法で生徒を救う。

 

うまく喋れないからこそ、大切なことだけを話すヒーロー。

 

辛くて苦しい現実も内村先生なら助けてくれる。

今を苦しんでいる人に読んでほしい物語。

 

それでは、また。

 

 

 

 

 

気の迷いでセックスすることもある 『ふがいない僕は空を見た』 小説紹介

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誰しもが体験したことがある不甲斐なさ。

人と関わっている限り、悩みは消えては生じるの繰り返しだ。

アドラー心理学『嫌われる勇気』では、人と関わっている限り、悩みは消えないと述べている。

悩みを消すには、自分以外存在しない無の空間なら可能であると。

そんなことは、ドラえもんもしもボックスがない限り、簡単に人との関わりを消したりすることはできないのだ。

生きている限り、悩みを消すことは不可能である。

無理なら、向き合うしかない。

この小説は、『悩み』と向き合うためのヒントがたくさん散らばっていると思う。

 

 

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。

内容(「BOOK」データベースより)




登場人物は、それぞれ悩みという爆弾を抱えている。

処理ができないから、他のもので、自分を満たそうとする。

欲を満たすことばかりに目がいきがちで、つい軽率な行動を取ってしまうのだ。

 

そして、彼らは不甲斐なくて、空を見上げるのだ。

失敗に気づいて、自分の浅はかさに後悔する。

 

この小説のように、私たちは常日頃から後悔しているのだ。

常に失敗はつきもので、後悔することだって時には必要である。

大切なのは、これを経験した時に、自分だけでなく誰もが一度は不甲斐なくて後悔しているということに気づくこと。

そんなことは当たり前のことだと思うだろう。

私もそう思っていた。

でも、実際に読んで感じるのだ。

みんな同じように悩むのだ、少し見方を変えてみようかなと。

 

普通に生きていても、理不尽なことをされることがある。

純粋なる悪意から、そのようなことをする輩がいるかもしれない。

でも、全てが純粋な悪意からではないということ。

ちょっとした気の迷いで、人を傷つけることもある。

それを知っていれば、間違いをしたとき、間違いを受けたとき、

不甲斐なくて空を見上げても、どうにか対処できるのだ。

 

要は、対処の方法を知っているか、偏った物事の考え方をしていないかを、

知ることが必要だということ。

 

 

性的な描写があるため、万人受けではないかもしれないが、

悩める大人なら一度は読んでほしい。

『生』と『人間関係』は難しく感じるけれど、

なんとかなるかもしれない。

 

 

寒すぎて、本当に寒すぎて、

手元にミニヒーターを置かないと、

キーボードで文字を打つのが難しいくらい寒いです。

早く春が来てほしいなと思います。

 

それでは、また。

 

 

 

 

 

 

きっと、紙の本もなくならない 『活版印刷三日月堂』 小説紹介

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あらかじめ鉛や木で文字の形を作っておく。

その文字に塗料を塗り、紙に印刷する。

 

現代の便利さを体験している私たちにとっては、ものすごく手間がかかるものだと感じるだろう。

 

活字はデジタル化され、文字は実物ではなく、データ化された。

日進月歩、どうしたら効率よくできるかを求めた結果、

活版印刷はほぼ絶滅しかけている。

 

そんな活版印刷が再注目されているのだ。

大量印刷ができた活版印刷ではなく、

文字一つ一つに思いを込めることができる温かみのある方法としてだ。

 

活版印刷の特徴は、一つ一つ活字の重さで、紙に独特のくぼみができるらしい。

そのくぼみを生かして、ユニークな年賀状・名刺などを作ることができる。

 

大量印刷ができるという一時代を築いてきた活版印刷の役目は終わったのかもしれない。

だけれど、自分の思いを形にして伝えることができるという点で、活版印刷は新たな役割を得たのだろう。

 

活版印刷をはじめとする昔からある技術は、どんどん最先端というものに押しつぶされている。

でも、それだけではない。

その役割を終えても、誰かが違う役割を必要としている限り、新しく生まれ変わり、私たちの日常にあり続けるのだ。

 

今日、紹介する『活版印刷日月堂』という小説は、活版印刷の良さを多くの人に知ってもらおうと奮闘する女性の物語。

簡単で便利であることが全てでない。

手間がかかるからこそ、思い入れがあり、

気持ちを込めることができる。

 

 

この本を読んだ後、懸念していたことが何処かに消えてしまった。

紙の本はいつか消えるのだろうか。

ここ最近、Kindleなど様々な形で本がデジタル化されている。

置く場所を考える必要がないし、

ネットにさえ繋がっていればどこからでも購入することができるし、

コスパフォーマンスもかなりいいし、

電子書籍の良い点をあげろと言われれば、たくさんあげることはできる。

 

でも、いまなら、自信を持って言える。

紙の本はなくならない。

わくわくしながら本屋に行ったり、

たくさんの本の置き場所に困ったり、

言葉の詰まった紙を手で感じることができたり、

そのすべてが好きなのだ。

私は紙の本を必要としている。

私以外にもたくさんの人が必要しているだろう。

誰かが、求め続ける限り大丈夫である。

 

そんな風に思わせてくれた本。

是非、読んでみてください。

あと、右が一巻で左が二巻です。

 

 

 

最近、一段と寒くなりましたね。

私の住んでいるところは、また雪が降りそうです。

 

それでは、また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森絵都『架空の球を追う』 小説紹介

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森絵都さんの作品、『架空に球を追う」。

何気ない言葉に傷ついたり、理想と現実のギャップに嫌気がさしたり、いきなり頭をもたげてくる過剰な自意識にとまどったり…。生きているかぎり面倒は起こるのだけれど、それも案外わるくないと思える瞬間がある。ふとした光景から“静かな苦笑いのひととき”を抽出した、読むとちょっと元気になる小説集。

内容(「BOOK」データベースより)

 

 

小説のジャンルで何が好きですかと聞かれたら、

あなたはどのジャンルを答えますか。

 

たいていは恋愛や推理、友情など大きなテーマを答えるだろう。

誰も苦笑いしてしまう物語が好きと答える人はいない。

まず、苦笑いというワード自体、選択肢にないと思う。

 

そんなことを言っているが、

今後、私が質問された時、選択肢に苦笑いというワードが出てくるだろう。

 

そんなマイナス的で、微妙な物語が好きなのかと思うことだろう。

もっと感動するもののほうがいいに決まっている、と。

 

案外、悪くないのだ。

苦笑いしてしまう物語は。

 

 

今回紹介する作品、森絵都さんの『架空の球を追う』という作品は、

苦笑いをしてしまう物語。

 

思いもかけない出来事に巻き込まれたり、

考えたくもないことを考えさせられたり、

誰しもが苦笑いしてしまう場面。

 

思い通りにならないし、

嫌な気持ちになってしまうし、

落ち込んでしまう。

でも、それだけではないのだ。

 

嫌なことともに、

思い出せなかったことを思い出したり、

素敵な出来事にめぐり合うことがあるのだ。

 

 

マイナスの場面の中にも存在する『案外わるくない』を発見することができる。

 

普段、私たちが抱いているイメージにも、

違う一面が含まれているのだ。

 

そういう風な考えを教えてくれる短篇集です。

 

 

 

苦笑いをテーマにした小説、是非読んでみてください。

そのような場面に出くわしたとき、二重の意味で苦笑いしてしまうかもしれません。

 

それではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読書をするときの姿勢について

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どうも、春太です。

読書を始めると時間を忘れて夢中になることはありませんか。

私はあります。夢中になりすぎて、体のいたるところが痛くなることがあります。

皆さんは、普段どんな姿勢で本を読んでいますか。

 

私はつい最近まで、特に気にすることもなく適当に座って本を読んでいました。

適当に座っていると、肩や腰が痛くなるんですよ。

なので、どの姿勢で本を長時間読むとどこが痛くなるのか、

どの姿勢なら長時間本を読むことができるのか。

私の体験をもとに紹介していこうと思います。

 

①座布団の上に体操座りで読書

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足を腕で抱え込んで読書するスタイル。

とりあえず、お尻を守るものさえあれば、

読書することができます。

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長時間読書すると、足を抱え込んでいる腕が疲れ、しびれることがあります。

また、座布団などでお尻を守っていても、お尻にいつか限界がきます。

 

◯良いところ

座布団さえあればどこでも読書できる

◯悪いところ

腕やお尻が痛くなるため、長時間読書には向いていない

 

 

②座布団の上であぐらをかいて読書

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どこか壁にもたれ、あぐらをかきながら読書をする。

これも簡単に読書を始めることができます。

 

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しかし、これは股関節が非常に痛くなります。

股関節が痛くなることで、腰や太ももなど様々な場所にダメージを与えることになります。

 

◯良い点

どこでもできる

◯悪い点

簡単であるがゆえに、やってしまいがちな姿勢ですが、体の至るところにダメージを与えてしまいます。

 


③ベッドやソファの上で横向きになって読書

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ソファなどのマッドの上で、横向き読書。

寝る前とかの読書時にしてしまう姿勢。

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この姿勢をやった人はわかると思いますが、すぐに限界がきます。

頭の位置を高くしようと腕で固定すると、腕にダメージ。

腕ではなく、枕で固定しようとすると、首にダメージ。

また、どうして左右の腕がべつべつの位置になってしまい、体を捻ってしまいます。

結果、腰にもダメージを与えてしまいます。

 

◯良い点

すぐに寝れそうな時は、快適

◯悪い点

長時間保つことが難しく、様々な場所にダメージを与えてしまいます。

 

 

④ベッドやソファの上で仰向けになって読書

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ソファなどのマッドの上で、仰向けになりながら読書。

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本と目の距離がどうしても近くなってしまうので、

腕を使って本当の距離を伸ばしがち。

これは、非常に腕にきます。

なので、枕などで首を高くし、お腹の上に本を置いて読書するといいかもしれません。

 

◯良い点

腕の負担を軽くすることができたら、結構楽に読書ができる

◯悪い点

腕に負担があること

 

 

⑤ベッドやソファの上でうつ伏せになって読書

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ソファなどのマッドの上にうつ伏せになりながら読書する。

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これもよくやりがちですが、横向き同様にすぐに限界がきます。

どうしても、体を外側に沿ってしまうため、首や腰に限界がきます。

なので、首元に枕を置き、内側に沿るようにしたらいいかもしれません。

 

◯良い点

枕などで姿勢を変えることができたら、そこそこ快適。

◯悪い点

首に深刻なダメージを与えてしまいます。

 

 

⑥椅子に座って読書

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椅子に座って読書。

これが一番負担が少ない姿勢。

サイドに腕が置けるアームなどの椅子の方が長時間、読書をすることができます。

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しかし、これにも一つ問題点があります。

冬場のなど、足場が寒くなる時は、足先の方に限界がきます。

足元を温めるヒータや、毛布が必要になってきます。

 

◯良い点

紹介した中で最も長く読書をすることができる

◯悪い点

冷え性などの方は、足先が非常につらくなる

 

 

次に今まで読書した中で一番、私に合っている座り方は、

椅子の上で横向きになって体操座りで読書がいいのではないかと思います。

しかし、これは体格差や椅子の大きさによって違ってくるので、

その点を検討の上、試してみてください。

 

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腰とアームの間に座布団を入れた方が腰にダメージがきません。

また、足はアームで固定されているので、腕にダメージがきません。

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今回は読書をするときの姿勢についてお話しをさせていただきました。

これを機会に、あなただけの読書をするときの姿勢を見つけてみてはいかがでしょうか。

 

画像がうまく表示できなかったので、再投稿させていただきました。

 それではまた。

 

 

 

 

 

 

『そして生活はつづく』のエッセイ紹介 / ブラック研究室について雑談

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携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活をおもしろがろう。音楽家で俳優の星野源、初めてのエッセイ集。巻末に俳優・きたろうとの文庫版特別対談「く…そして生活はつづく」も収録。

内容(「BOOK」データベースより)

 

このエッセイのテーマは、毎日の生活を面白がること。

この本の著者である星野源さんは、人付き合いも、部屋の片付けも、

ありとあらゆる日常生活が苦手だと語っている。

 

嫌いな日常から逃げるために、好きな仕事に打ち込む。

だけれど、生活は死ぬまで続くもの。

それならば、嫌いな生活を面白いものにしていこう。

 

このエッセイを読んでいると、星野源さんという「個」を感じる。

誰かが勝手に決めたルールなんて関係ない。

人が決めたレールの上を走ることに意味があるのか。

 

自分を決めるのは、いつだって自分。

 

すごく自由で、生き生きしている。

特に、気に入っている3つの内容を紹介していこうと思う。

 

もちろん役者の才能も文章の才能も特にないのはわかっていたけど、わかってるからこそやれるようになりたいし、上手くできないことこそ憧れるわけで。

いつだって私たちは物事を決めるとき、先生や先輩という人に指示を仰ぐ。

彼らが才能がないと言ったら諦める。

違うことをやったほうが君のためと言われたら、違うことをやる。

 

それは違う。決めるのは今を生きている私たちだ。

他人の評価なんて関係ない。

チャレンジしてみてダメだったら諦めたらいいし、

ダメでも楽しいのならば、続ければいい。

すごく素敵なことだと、私は思っている。

 

欠点や弱い部分でも共鳴し合う部分があれば有効なコミュニケーションツールになる。

欠点は、みんな隠したがるもの。

自分ができないことを知られたくないし、そのぶんチャンスが減ると思ってしまう。

でも、実際は違うらしい。

人それぞれいるが、必ず同じ欠点を持っている人に出会う。

その人は、同じ痛みを、苦しみを知っている。

知っているからこそ、コミュニケーションをとることができるし、

理解し合えることもできる。

 

たしかに、その通りだと思う。

 

集団と「ひとつ」になることを目指す。それが、この日本の社会から生まれる、集団の基本的な「和」のしくみであると思う。それは少し窮屈だと思えてならない。みんなばらばらでいいじゃないか。

足並みをそろえなければいけないとか、出る杭は打たれるとか、集団や組織として一つにならなれけばいけない。

とかいう人を、私は好まない。

人それぞれの個性があるのだから、集団のルールを守り、集団に不利益を被らなければいいではないか。

それなのに、個人というものを潰し、正しいとされる考えを強要してくる。

それをおかしいと思う人がいることを知れて私はとても嬉しい。

 

 

 

ここからは、私についての雑談になる。

私はついこの前まで、大学の研究室に属していたのだが、

そこの教授がそういう考えの持ち主だった。

自分の考えに気にくわない学生は、徹底的に追い詰める。

私の同期で、他人とは少し違う考えを持っていたことが、

教授は気に食わなかったらしく、

徹底的にいじめ始めた。

研究室に大きな損害がもたらしたわけでもないのに、

好き嫌いで行動する人間。

 

どんどん弱っていく同期を尻目に、私は何もすることができなかった。

先輩たちに関しては、それは当たり前のことらしく、

研究室の考えに賛同できないほうがおかしいと。

たしかに社会に出ればそんなことは、日常茶飯事なのだろう。

 

それに、教授に嫌わられたら、大学を卒業することができないし、

学費をだしてくれた親に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

自分を守るのに精一杯だった。

同期の人は精神疾患を患い、今大学を休学している。

自分の保身のことばかり気にする自分。

教授みたいな人間は好まないと言いながら、何もすることができなかった自分。

 

全てが嫌になり、大学をやめた。

この先ちゃんと生きていけるのかとか、考え出したら不安は止まらない。

 

だけれど、自由というものを初めて理解したと思う。

誰かに決めてもらうのではなくて、人生の責任を全て自分で負う覚悟ができた。

 

間違っていることがあれば、間違っていると大声で叫ぶことができるし、

得意なことも不得意なことも取り組むことができる。

 

誰かのレールには乗らない、それが自由人。

 

 

この本の著者である星野源さんは、自由人代表だと思う。

いつだって自分を持っているから、不得意なことがあっても、みんなに好かれるし、

認められる。

 

この本は自由に生きるためのバイブルかもしれない。

 

自由人代表を見習いつつ、私は私だけの自由人を追求して生きたい。

 

 

最後に、研究室に関して困っている人へ。

大学を卒業できないこと=人生の終わり、

ブラック研究室に配属してしまったこと=不幸ではありません。

ブラック研究室だからこそ、学べることがあります。

 

偏った考えを持った人間がいることを知ることができる。

知ることができたならば、自分はどのような信念を持って生きたいのかを考えてみてください。

考えた結果、辞めるという選択肢は逃げではありません。

無理をするのは辞めてください。

 

そして、困っている同期や後輩がいたら助けてあげてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶望 『昨夜のカレー、明日のパン』 小説紹介

絶望。

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深い絶望に会ったとき、他人からのはげましの言葉なんて意味がない。

『全てを捨てるのはまだ早い』

『命を簡単に捨てるな』

他人からそんな言葉をかけられても意味がないかもしれない。

当事者の気持ちを理解することは難しい。

『あなたに自分の悲しみがわかるのか』

その通りだ。

他人に全てを理解してもらうことは不可能だ。

 

時間が解決してくれるとよく聞くが、半分正解で半分不正解だと思う。

ただ何もしていないで過ごしていては意味がないのだ。

少しずつ、そして一歩ずつ日常に、小さな喜びを見つけなければならない。

 

マイナスの感情に少しの喜びを加えていく。

それが積み重ねられたとき、前を向くことができるのだと思う。

 

こんなことを偉そうに書いている私であるが、

私自身まだ深い悲しみを体験したことはない。

本当の意味では理解することはできないし、

私の想像よりもずっと深いものだと思う。

そんな時どうすればいいいだろうか。

 

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もし、私の周りの人が遭遇したとき、

私自身が経験してきた小さな喜びを与えたい。

ありふれた言葉をかけるのではなく、その人の半歩先を歩き、

小さな喜びをばらまいていきたい。

 

だけれど、小さな喜びを見つけるのは意外に難しい。

今を生きるのに必死すぎて、違う視点で物事を捉えることができない。

 

そんな私たちのために本はあるのかもしれない。

小さな喜びが詰まった物語を体験する。

娯楽として、そして今後、訪れるかもしれない悲しみを受け入れるために。

 

 

何が言いたいかというと、

少しのスパイスで日常は色鮮やかになるし、

そのスパイスが何かを知っていれば、

どうしようもない現実もなんとかなるかもしれないということです。

 

 

そのスパイスの一つが、本であると私は信じています。

 

 

『昨夜のカレー、昨日のパン』からたくさんスパイスをもらえると思います。

老若男女、全ての人におすすめです。

ページ数は、280ページぐらいなので読みやすいです。

悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。

(内容『BOOK』データベースより)

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