読書の春

心に伝わる本、紹介しています。あと、読書に関する雑談などもしていきます。

『そして生活はつづく』のエッセイ紹介 / ブラック研究室について雑談

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携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活をおもしろがろう。音楽家で俳優の星野源、初めてのエッセイ集。巻末に俳優・きたろうとの文庫版特別対談「く…そして生活はつづく」も収録。

内容(「BOOK」データベースより)

 

このエッセイのテーマは、毎日の生活を面白がること。

この本の著者である星野源さんは、人付き合いも、部屋の片付けも、

ありとあらゆる日常生活が苦手だと語っている。

 

嫌いな日常から逃げるために、好きな仕事に打ち込む。

だけれど、生活は死ぬまで続くもの。

それならば、嫌いな生活を面白いものにしていこう。

 

このエッセイを読んでいると、星野源さんという「個」を感じる。

誰かが勝手に決めたルールなんて関係ない。

人が決めたレールの上を走ることに意味があるのか。

 

自分を決めるのは、いつだって自分。

 

すごく自由で、生き生きしている。

特に、気に入っている3つの内容を紹介していこうと思う。

 

もちろん役者の才能も文章の才能も特にないのはわかっていたけど、わかってるからこそやれるようになりたいし、上手くできないことこそ憧れるわけで。

いつだって私たちは物事を決めるとき、先生や先輩という人に指示を仰ぐ。

彼らが才能がないと言ったら諦める。

違うことをやったほうが君のためと言われたら、違うことをやる。

 

それは違う。決めるのは今を生きている私たちだ。

他人の評価なんて関係ない。

チャレンジしてみてダメだったら諦めたらいいし、

ダメでも楽しいのならば、続ければいい。

すごく素敵なことだと、私は思っている。

 

欠点や弱い部分でも共鳴し合う部分があれば有効なコミュニケーションツールになる。

欠点は、みんな隠したがるもの。

自分ができないことを知られたくないし、そのぶんチャンスが減ると思ってしまう。

でも、実際は違うらしい。

人それぞれいるが、必ず同じ欠点を持っている人に出会う。

その人は、同じ痛みを、苦しみを知っている。

知っているからこそ、コミュニケーションをとることができるし、

理解し合えることもできる。

 

たしかに、その通りだと思う。

 

集団と「ひとつ」になることを目指す。それが、この日本の社会から生まれる、集団の基本的な「和」のしくみであると思う。それは少し窮屈だと思えてならない。みんなばらばらでいいじゃないか。

足並みをそろえなければいけないとか、出る杭は打たれるとか、集団や組織として一つにならなれけばいけない。

とかいう人を、私は好まない。

人それぞれの個性があるのだから、集団のルールを守り、集団に不利益を被らなければいいではないか。

それなのに、個人というものを潰し、正しいとされる考えを強要してくる。

それをおかしいと思う人がいることを知れて私はとても嬉しい。

 

 

 

ここからは、私についての雑談になる。

私はついこの前まで、大学の研究室に属していたのだが、

そこの教授がそういう考えの持ち主だった。

自分の考えに気にくわない学生は、徹底的に追い詰める。

私の同期で、他人とは少し違う考えを持っていたことが、

教授は気に食わなかったらしく、

徹底的にいじめ始めた。

研究室に大きな損害がもたらしたわけでもないのに、

好き嫌いで行動する人間。

 

どんどん弱っていく同期を尻目に、私は何もすることができなかった。

先輩たちに関しては、それは当たり前のことらしく、

研究室の考えに賛同できないほうがおかしいと。

たしかに社会に出ればそんなことは、日常茶飯事なのだろう。

 

それに、教授に嫌わられたら、大学を卒業することができないし、

学費をだしてくれた親に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

自分を守るのに精一杯だった。

同期の人は精神疾患を患い、今大学を休学している。

自分の保身のことばかり気にする自分。

教授みたいな人間は好まないと言いながら、何もすることができなかった自分。

 

全てが嫌になり、大学をやめた。

この先ちゃんと生きていけるのかとか、考え出したら不安は止まらない。

 

だけれど、自由というものを初めて理解したと思う。

誰かに決めてもらうのではなくて、人生の責任を全て自分で負う覚悟ができた。

 

間違っていることがあれば、間違っていると大声で叫ぶことができるし、

得意なことも不得意なことも取り組むことができる。

 

誰かのレールには乗らない、それが自由人。

 

 

この本の著者である星野源さんは、自由人代表だと思う。

いつだって自分を持っているから、不得意なことがあっても、みんなに好かれるし、

認められる。

 

この本は自由に生きるためのバイブルかもしれない。

 

自由人代表を見習いつつ、私は私だけの自由人を追求して生きたい。

 

 

最後に、研究室に関して困っている人へ。

大学を卒業できないこと=人生の終わり、

ブラック研究室に配属してしまったこと=不幸ではありません。

ブラック研究室だからこそ、学べることがあります。

 

偏った考えを持った人間がいることを知ることができる。

知ることができたならば、自分はどのような信念を持って生きたいのかを考えてみてください。

考えた結果、辞めるという選択肢は逃げではありません。

無理をするのは辞めてください。

 

そして、困っている同期や後輩がいたら助けてあげてください。