大切なことしか言わない 『青い鳥』 小説紹介
ヒーローとは何か。
悪党に襲われそうになるヒロインを間一髪で助けたり、
ピンチの場面に遅れて登場したり、
圧倒的な正義の力で敵を一蹴するヒーローを想像する。
簡単に言えば、子供の頃によく見ていた仮面ライダーや戦隊ものに出てくる主人公が当てはまる。
とにかくヒーローはスマートでかっこいいのだと私は思っていた。
でも、ヒーローの形はそれだけではないのだ。
今日、紹介する小説『青い鳥』の主人公・内村先生は、吃音という病を患っていて、うまく喋ることができない。
村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒―後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。
内容(「BOOK」データベースより)
一般的に、先生という者は、はきはきと言葉を喋れる方が、
うまく勉強を教えることができるだろう。
その点では、内村先生はうまく教えることができない。
そんな内村先生は勉強よりももっと大事なことを教えてくれる。
吃音というハンデと、今まで体験してきたいじめというものを知っているからこそ、
普通の先生なら気づくことのできない叫びに気づくことができるのだ。
内村先生だけの方法で生徒を救う。
うまく喋れないからこそ、大切なことだけを話すヒーロー。
辛くて苦しい現実も内村先生なら助けてくれる。
今を苦しんでいる人に読んでほしい物語。
それでは、また。