気の迷いでセックスすることもある 『ふがいない僕は空を見た』 小説紹介
誰しもが体験したことがある不甲斐なさ。
人と関わっている限り、悩みは消えては生じるの繰り返しだ。
アドラー心理学『嫌われる勇気』では、人と関わっている限り、悩みは消えないと述べている。
悩みを消すには、自分以外存在しない無の空間なら可能であると。
そんなことは、ドラえもんのもしもボックスがない限り、簡単に人との関わりを消したりすることはできないのだ。
生きている限り、悩みを消すことは不可能である。
無理なら、向き合うしかない。
この小説は、『悩み』と向き合うためのヒントがたくさん散らばっていると思う。
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)
登場人物は、それぞれ悩みという爆弾を抱えている。
処理ができないから、他のもので、自分を満たそうとする。
欲を満たすことばかりに目がいきがちで、つい軽率な行動を取ってしまうのだ。
そして、彼らは不甲斐なくて、空を見上げるのだ。
失敗に気づいて、自分の浅はかさに後悔する。
この小説のように、私たちは常日頃から後悔しているのだ。
常に失敗はつきもので、後悔することだって時には必要である。
大切なのは、これを経験した時に、自分だけでなく誰もが一度は不甲斐なくて後悔しているということに気づくこと。
そんなことは当たり前のことだと思うだろう。
私もそう思っていた。
でも、実際に読んで感じるのだ。
みんな同じように悩むのだ、少し見方を変えてみようかなと。
普通に生きていても、理不尽なことをされることがある。
純粋なる悪意から、そのようなことをする輩がいるかもしれない。
でも、全てが純粋な悪意からではないということ。
ちょっとした気の迷いで、人を傷つけることもある。
それを知っていれば、間違いをしたとき、間違いを受けたとき、
不甲斐なくて空を見上げても、どうにか対処できるのだ。
要は、対処の方法を知っているか、偏った物事の考え方をしていないかを、
知ることが必要だということ。
性的な描写があるため、万人受けではないかもしれないが、
悩める大人なら一度は読んでほしい。
『生』と『人間関係』は難しく感じるけれど、
なんとかなるかもしれない。
寒すぎて、本当に寒すぎて、
手元にミニヒーターを置かないと、
キーボードで文字を打つのが難しいくらい寒いです。
早く春が来てほしいなと思います。
それでは、また。