会社を辞める勇気 『ちょっと今から仕事をやめてくる』 小説紹介
北川恵海さんの作品、『ちょっと今から仕事やめてくる』。
ブラック企業に勤めている隆。
過酷な仕事に疲れた隆は、飛び込み自殺をしようとする。
そんな彼の目の前に現れたのはかつての同級生だった。
同級生のヤマモトのおかげで、次第に元気になる隆だが、
ある日、一つの疑問が浮かぶ。
ヤマモトとは一体誰なんだと。
この物語は、ブラック会社を辞めたいすべての人に向けたもの。
最近、若者の離職率の多さを報道するニュースをよく見かける。
ゆとり教育の弊害、最近の若者は軟弱で忍耐力がないと揶揄されている。
それらも原因の一つだとは思うが、本当にそれだけが原因だろうか。
私はそれだけが原因とは思わない。
今と高度経済成長時では、社会制度が違う。
終身雇用は確実なものではなくなり、一人当たりの年金の負担も年々大きくなっている。
労働者も少子高齢化の影響で、一人への負担が大きくなる。
原因を挙げれば、まだまだたくさんのあげることができるが、
ここでは割愛させてもらう。
私たちの社会は時代ともに変化している。
つまり、若者の離職率の多さは社会の変化を表しているのではないだろうか。
若者の軟弱さを嘆くのではなく、一般の常識は当てはまらなくなっているということを認識すべきではないかと思う。
本書でも、一つの会社を勤め上げるのではなく、自由に生きることが大事だという作者の思いを感じることができます。
このような本がたくさんの方に認知され、多種多様で自由な生き方が当たり前になることを私は願っています。