見方を変えるだけでいいんだ 『アルジャーノンに花束を』
ダニエル・キイスさんの作品、『アルジャーノンに花束を』
幼児並みの知能しかないチャーリー。
彼の周りにはいつも友達がいてくれる。
友達は彼をみて、笑ってくれるんだ。
自分も彼らと同じように知能が欲しいチャーリーに、いい知らせが舞い降りて来た。
知能レベルを上げてくれるという大学の教授たち。
同じ実験を受けているネズミのアルジャーノンとともに、教授たちが指示したプログラム通りに実験することを同意したチャーリー。
辛い実験を乗り越え、彼は常人以上、すなわち天才の知能を得る。
そんなチャーリーに突きつけられた現実は、汚い人間社会だった。
天才になった彼に、どんな運命が待ち受けているのだろうか。
読み進めていくうちに、だんだんと心が苦しくなってくる。
でも、最後まで読んでいただきたい。
私たちの住む世界は、目まぐるしいスピードで進歩している。
私はふと疑問に思うのだ。
正しい進歩をしているのだろうか。
進歩するにつれて、広がる格差社会。
どこかで私たちは間違いを犯したのではないかと。
進歩の始まりはきっと、誰かの役に立ちたいという思いからではないだろうか。
それがいつからか、誰かより優位に立たなければいけない。下に見られる。バカにされるのが怖い。
そんな恐怖心がいつのまにか、蔓延してしまったのだろう。
優劣をつけることでしか、自分という一人の人間を確立することができない私たち。
違うんだと、チャリーたちは教えてくれる。
私たちに必要なのは、自分らしく誰かの役に立てればいいという心構えなんだ、と。
この場を借りて一言。
アルジャーノン、チャーリー、そしてダニエル・キイスに花束を。